性はうるおいある老後を送るための大きな要素だ

性はうるおいある老後を送るための大きな要素だ

一九八九年五月二十二日の朝日新聞に、「”タブー”の中の老人の性」と題する特集記事がありました。これは老人の性に対する九十四人からの真摯な投書をも とに構成されているのですが、興味深い内容ですのでご紹介します。

「素直に言って、これ(性)なくして何が人生かと極言してはばかりませんよ。……われわれ老人も生きる喜びを、夫婦同床に求めたいと思います」(福岡県/七十五歳•男性)

「私も八十六歳を迎えましたが、いまだに性欲に関心があります。若い頃のよぅな元気はありませんが、心の安らぎには絶対必要です。私には老人会仲間の七十歳ぐらいの好きな女性が一人あり、……半日ぐらいお茶飲みを楽しみます。別れにキスをしてそれが楽しみです」(茨城県/八十六歳•男性)

「年老いて初めて性の大切さを知りました。今の私の楽しみは、一力月に二、三回、ソープへ行って遊ぶことです。何もかも忘れて性の喜びに浸ったとき、生き ていてよかったと心の底から叫びたくなります」(神奈川県/六十五歳•男性)

「七十歳を一力月ほど過ぎました。シングルになって十年、……彼は私より五歳年下なのですが、初対面でフィーリングはピッタリ。何の違和感もありませんでした。つき合い始めて三力月目で自然と結ばれました。月に二、三回お会いしていますが、……毎日が新鮮で、以前にも増して充実した生活を送っています。この生活をいつまでも、長く、長く続けたく思っています」(埼玉県/七十歳•女性)「生殖(子づくり)が終わってからこそ、ほんとぅの性を楽しむべきと心得る。性欲は食欲と同じで、健康のしるし、頭脳も老化しない。自然の欲求に従えばよく、無理な禁欲こそ有害である」(東京都/七十一歳•男性)

このよぅに高齢者のセックスはタブー視することなく、高齢者だからこそ、活き活きとした毎日を過ごすためにセックスは必要なのです。

高齢者のセツクス回数

高齢者のセツクス回数

もちろん、いくら性欲を抱いていても、若い頃と同じょうなセツクスをすることは不可能です。それは、二十代の時には階段を駆け上がることができたのに、七十歳ではできなくなるのと同じことで、どうしても歳を重ねるにつれて足腰が弱くなり、老化してくるのは避けられません。生理学的にいっても、性機能の働きを促す男性ホルモンの分泌は減少していきます。

しかし、だからといって、まつたくセツクスが不可能になつてしまうというこ とではありません。

前項でご紹介したキンゼィ報告を見ても、八十代の人が一力月半に一回という割合でセックスを行っていますし、一九八一年に六十歳から九十歳代までの高齢者計八百人から聞き取り調査を行ったアメリヵの別の報告にょれば、なんと週に平均一•四回もセックスしているというのです。

これらの調査を見ても、「もう歳だから仕方ない」と諦めてしまうのはまったく根拠のないことだといわざるをえません。生理学的にみても、セックスをやめ る理由はまったくないのです。

「高齢者意識調査」の結果ガ示す性への希求

人の営みとして当たり前のはずの高齢者の性

 

  • 「高齢者意識調査」の結果ガ示す性への希求

 

四十代や五十代ならいざしらず、六十代や七十代、またはそれ以上の年齢になると’人はどうしても「もう1だから仕方ない」と勝手に諦めてしまう風潮にあるようです。それゆえに、七十代になつても性欲があつたりすると「俺は異常ではないのか」とか「この哉で恥ずかしい」と思い込み、性欲を抑えようとする人もいます。

 

この風潮は、ある意味では仕方のないことかもしれません。というのも、若い人や中苹層くらいまでのセックス情報は、雑誌やテレビなどに犯濫しているのに、高齢者向けとなるとまつたくないからです。高齢者のセックスの実態や意識調査というものもほとんど表に出てこない状態です。これでは、たとえセックスを行っていたり、性欲をもつていたりしても、「この歳で俺は異常ではないのか」と不安に思うのも道理でしよう。

 

しかし、実際のところはどうなのでしようか。先頃、中日新聞に面白い記事が載っていました。それは、栃木県鹿沼市に住む川田一郎さんという産婦人科医の方が、近隣に住む六十から九十四歳の高齢者二千九百五十人を対象に無記名で行った「高齢者性意識調査」です。これによると、男性の五六.一%が「勃起する」と答えており、そのうちの六〇%以上が「射精可能」だとしています。

 

さらに、性欲に関していえば、「まつたくない」と答えたのは男性で百四十人、女性でも五百二十四人だけでした。

 

この調査結果を見ても、高齢者が性欲を抱くのはけつして不自然なことではなく、まして「恥ずかしい」などと思うほうが不自然だといえましよう。